青ヶ島で散歩をしたこと

雑記

※この記事は、麦畑飛魚の日記を加筆・修正したものです。

2022年8月17日(1日目)
夏季休暇の3日目。朝方、妻と娘が支度をして軽井沢へでかけていった。私は何をしようか考えていた。なんとなく携帯電話を手に取る。インターネットを見ていると、どういうわけか青ヶ島の情報がいくつか入ってきた。青ヶ島は東京都心から約360km離れた人口約170人ほどの島である。

青ヶ島(東京の観光公式サイトGO TOKYO https://www.gotokyo.org/ から引用)

青ヶ島行って散歩だけして帰ってくるの最高に楽しそうだな。という考えがよぎる。しかし、上陸困難な島とか、行ったら帰って来ることができないとかネガティブな情報もたくさんでてくる。しかもお金もそれなりにかかる。

昼食をとる。どうも青ヶ島の情報が入ってきて気になる。しかしながら、こんな思いつきでお金と労力をかけて行っても良いものかという葛藤があった。

そこで私はいつも利用している西武池袋線をひたすら逆に行ったらどうなるのか。という弱めの企画で自分の気持ちを落ち着かせようとした。

行き先は稲荷山公園駅に決めた。いつもと逆向きの電車に乗る。保谷まではたまに来ることがあるけど、それより西にはあまり行ったことがない。電車でどんどん西へ向かった。

そして稲荷山公園駅についた。

狭山稲荷山公園

稲荷山公園をうろうろ歩く。

でかい木

めちゃくちゃでかい公園だ。ほとんど人もいないし、曇っていたせいか涼しいし散歩するのには最高の日だったと思う。
ほぉーこれが稲荷山公園かー。30分ほど歩いてリフレッシュしたあとこう思った。

。。。

よし、やっぱり青ヶ島にいこう。

船が出なくて行けなかったら、それはそれで思い出になるだろう。この時点で夕方18時頃。

急いで家に帰る。最低限の用意をして船のターミナルに近い大門駅へ向かう。20時すぎ頃、竹芝客船ターミナルに到着。ここから22時30分発の橘丸に乗船することで八丈島へ行くことができることを確認。八丈島到着は翌朝8時55分になる予定。そこから乗り継ぎして青ヶ島に行けるかどうかは翌朝八丈島営業所に電話して確認してみてほしいとのこと。チケットを買ってターミナルで待つ。

竹芝客船ターミナル
出航OK

2時間ほど待って橘丸に乗船した。黄色くて大きな船だった。乗船しながら、ただ「散歩したい」だけで船乗ってどこまでいくんだこれは。というような気もしたが、知らない場所に行ってテクテク歩く。それが今一番やりたいことなんだから仕方がない。

橘丸

船が動き出した。

船から見たビル

大学生と思われるグループが数十名楽しそうにしていた。先生に誘導されて船の中の部屋に移動する小学生ぐらいの子どもたち。子どもたちもキャッキャッとお話をしていて楽しそう。家族連れ。外国人カップル。

私は妻に今晩の船で八丈島へ行き、八丈島経由で青ヶ島というところへ向かう予定だということを連絡した。

東京湾の中を橘丸が進む。両方からビル群のまばゆい光。
2022年夏、私の散歩大作戦が始まった。

2022年8月18日(2日目)
船の中で眠る。午前5時ごろ三宅島に到着する。若者の話し声がするなと思っていたら、一気に船内が静かになった。大学生と思われるグループは三宅島で降りたようだ。

よく考えたらみんなが八丈島に行くわけじゃないもんな。それに八丈島に行く人の内、どのぐらいの人がさらにそこから青ヶ島へ行くのかしら。というようなことを思った。

まだ少し眠かったのでもう少し眠る。船の中はあまり揺れもなく、疲れていたこともあってよく眠ることができた。

午前8時頃、東海汽船の八丈島営業所に電話をしてみる。八丈島に到着したあと、青ヶ島行きの船に乗り継ぎできるかなどを確認する。しかし今日(8/18)は青ヶ島行きの船が出ていない日である。ということがわかる。なにー、そうだったのかー。

私は思った。まぁ、いいや。

ついでに明日(8/19)は青ヶ島行きの船が出るか確認したが、当日の午前7時にならないとわからないとのこと。本当に行けるかどうかわからないな。これは。

だんだん八丈島が近づいてくる。八丈島を海から眺めると八丈島も崖みたいなっている場所が多く、うーん、これで十分すごいけどな。青ヶ島っていうのはどんなところなのかしらと思った。

八丈島01
八丈島02

午前9時頃、橘丸は八丈島に到着。別に行くあてもなかったので、ひたすら歩いてみることにした。八丈島はひょっこりひょうたん島のモデルといわれているそうで、ひょうたんのような形をしている。橘丸が到着したのは、北側にある底土港で、ひょうたんのくびれの北側にある港である。

ひょうたんのくびれの南側に八重根港という港がある。思いつきだが、北側の港(底土港)から南側の港(八重根港)まで歩いてみようと思った。ひょうたんの真ん中を端から端まで歩く作戦である。

歩き始めた。歩けば歩くほど非日常が広がっていて、南の島を体験したいんだったらここで十分なんじゃないかと思った。少し歩くと海が見えることや、反対側を見ると山がドーンっと立っていること。ヤシの木。ハイビスカス。

ハイビスカス

八丈島を歩くのは楽しかった。うわー楽しいな。これもう青ヶ島いく必要あるかな。ここで歩いて、歩いて、それで楽しくなって帰ったらいいんじゃないかしら、というか明日青ヶ島行きの船出るのかしら。というようなことを考えていると、突然雲行きが怪しくなってきた。

あー、雨降ってきたな。と思った次の瞬間、一気に叩きつけるような、これなんですか、いまこれ台風きてます?というような雨に変わって、どうすることもできなかった。小さな折りたたみ傘を持ってきていたが、それで防げるレベルの雨ではなかった。

うわー、と思ってたまたま見つけたスーパーに避難。タオルと少し丈夫そうな折りたたみ傘を買う。雨が止むのを少し待っていると、小雨になってきた。

あぁー良かった。これでまた歩くことができると思って、南側の港(八重根港)へ向かって歩き始めた。八重根港につく頃には雨は上がっていた。八重根港から海を見た。荒々しい波がとても強く打ち付けていた。あまり人もおらず、港では猫が休んでいた。底土港とはまた違う、八重根港の雰囲気がかっこ良いなと思った。

八重根港船客待合所
八重根港から見た海

さて、このあとどうしようと思って海沿いの道を歩いていると、また非常に強い雨が降ってきた。傘が飛ばされそうになるぐらいの強い雨と風。散歩している場合じゃない。

たまたま見つけたレストランに入って昼食をとった。豚肉を炒めたものとご飯とスープ、サラダ付き。とてもおいしかった。ご飯を食べている間に雨は止んだが、歩いているとまた雨。止む。歩く。雨。の繰り返し。

私は思った。一旦休憩したい。いやしかし、そもそも今日泊まるところがないな、と。雨の中、携帯電話で検索をする。

どこかひとつぐらいあるだろう。と思って、インターネットに出てきた宿泊施設の値段の安い方から順番に電話をかける。6,7箇所ぐらい電話しただろうか。どこもいっぱいで泊まれないとのこと。

しかし、最後に電話した宿泊施設の女性の方が、うちはもう予約でいっぱいなので宿泊は難しいが、八丈島環境協会に電話してみてはどうかということを教えてくれた。なんでもその協会の人が、空いている宿を探してくれるかもしれないとのこと。

雨が降る中、協会に電話したところ実際に探してくれ、宿をとることができた。感謝。

そんなわけで紹介していただいた民宿にいって休憩したり、服を乾かしたりした。夕方、宿のオーナーがご厚意でやすらぎの湯という温泉につれて行ってくれた。温泉で温まって、その日はゆっくりと眠った。

宿


2022年8月19日(3日目)
はやめに起きてオーナーにお礼を言って、精算し民宿をあとにする。温泉にも入ることができ、しっかり休憩できたので良かった。底土港まで歩く。今日は晴れ。海や空がとてもきれいで、八丈島の本領発揮という感じであった。

晴れた
ハイビスカスと薬局と山と空
港へ向かう

底土港までたどり着いた。青ヶ島行きのくろしお丸は条件付き就航となっていて、海の状態によっては引き返す可能性があるということであった。この判断が当日の朝7時に行われるので、当日にならないと船が出るかどうかわからない。

条件付き就航

一方で青ヶ島に行く場合、先に宿を予約してから行くというルールがあるようで、条件付きではあるが、船が出ることがわかった今、宿を予約したいと思い青ヶ島の宿泊施設に電話をした。

いくつか宿に電話をしたが、いっぱいで難しい、当日だと準備が難しいという反応が返ってきた。おおっと、ここまで来て宿がとれなくて行くのを断念しなくてはならないのかと思いながら電話していると「大人一人ですか?大丈夫ですよ。今日の夕食と翌朝の朝食がでます」といった回答があった。おぉ、ありがたや。

レンタカーを借りたりしますか?という話があったので、レンタカーは借りず、港から歩いて宿まで行きます。と回答。
それでは12時30分頃に青ヶ島に船がつくので、宿への到着は13時30分から14時頃ですね。という話があったので、はい、その頃になると思います。よろしくお願いします。と答えた。

9時30分、くろしお丸が出航。底土港のターミナルで船を待っている人はたくさんいたが、この船に乗り込む人は数名しかいなかった。

くろしお丸
くろしお丸出航

船がぐわんぐわん揺れた。正直橘丸の3倍ぐらい揺れたのではないかと思う。途中まで椅子のある席に座っていたが、船酔いに耐えられず一番下の階の横になれるスペースへ移動。1時間半ほど無理やり眠ってやり過ごした。不思議と眠っているときは船酔いしなかった。

12時過ぎごろ、だんだんと青ヶ島が見えてきた。断崖絶壁。全部崖。島というよりもでっかい岩という感じ。すごすぎる。崖の中にぽつんと三宝港が見えてくる。写真をたくさん撮りたかったけど船酔いがひどくなりそうであんまり動くことができなかった。

青ヶ島
三宝港

12時30分、青ヶ島に到着。

とにかく大変だったので、もう一回いっておこう。青ヶ島に到着した。いつもと違う場所を散歩をしたいという「散歩大作戦」の最大の目的地、青ヶ島にやってきたのだ。あとはもう、散歩して帰るだけだ。

青ヶ島に着いた
コンクリートで固められている
最初のトンネル
青ヶ島・三宝港からの海。晴れ

船着き場に特に施設らしい施設もなく、あとは自由に楽しんでください。という感じであった。私は何枚か写真を撮ったあと、港から岡部地区(居住区)まで歩きだした。1時間30分歩くのなんていつもやっているので何も問題ないと考えていた。

しかし、港から岡部地区までの道はかなり急な坂道になっており、山を登っている感じであった。また持ってきていたペットボトルのお茶を早々に飲み干してしまい、それ以降歩きながら自動販売を探す旅路となってしまった。

歩く。自動販売機を探す。ない。歩く。自動販売機を探す。ない。暑い。坂道きつい。

ということで、体力が想像以上に奪われていく。どこかにないかしら。と考えて歩いていたら、トラックが駐車してあるスペースに自動販売機を発見!がぶがぶと飲んだ。お茶ってこんなに美味しかったっけ。と思った。

そして歩く。歩きに来たんだから、歩いている時点で正解なのだけど、暑い。そして坂道が体力を削ってくる。

分かれ道
青ヶ島の山

2箇所目のトンネル、平成流し坂トンネルの前あたりで、親切な方に声をかけられて、岡部地区まで車に乗せて行ってくれることになった。ありがたや。

宿泊施設に到着。少し休憩した後、青ヶ島に着いたらここだけは行ってみたいと思っていた大凸部(おおとんぶ)へ歩いていった。

景色がきれい
大凸部への道01
大凸部への道02

さっき坂道を上ってきたばかりでもあり少し疲れたが、大凸部(おおとんぶ)からの景色は絶景だった。360度全部海。下見たら2重カルデラ。つまり外側の山があって、一回凹んでいてもう一回山がある状態。そして島の外側は空の青と海の青。絶景すぎて並行感覚がおかしくなる感じがした。ふわっと浮いているような感じ。

大凸部からの景色
青ヶ島と私

きれいなものを見て怖くなるというか、吸い込まれそうになる感覚があった。そんなこともあってこれ、今回の話これ大丈夫かな。散歩したいで練馬から青ヶ島まで来てこれ、大丈夫かな。無事に帰りたいな。とも考えていた。

大凸部(おおとんぶ)から降りた後、地熱でゆで卵なんかを作って食べるというのをやってみることにした。

唯一の商店である「十一屋酒店」にいって、卵2個とソーセージを買った。ここまでに歩く力を使い果たしていたので、もう一回港の方に歩いて戻る気力はなく、ここでレンタカーを借りた。
散歩大作戦なのにレンタカーを借りるという謎の行動をやってしまったが後悔はしていない。車に乗って地熱釜がある場所に向かいながら、車というのはなんと素晴らしいテクノロジーなんだと思った。

十一屋酒店

車で行くとすぐ着いた。同じように観光できていた男性の方が地熱釜を覗いていた。声をかけると地熱釜で食べるものは何も持ってきていないとのことだったので、私が買った卵とソーセージを地熱で蒸してシェアして食べた。

地熱釜
蒸した食材

男性は休みを利用して観光に来たとのことだった。前回一度来ようとしたが、八丈島からヘリが飛ばなくなってしまい来ることができなかったので、2度目の挑戦になるとのことであった。

私は船で一回で来ることができたのだが、それはやはり珍しいことなのかもしれない。天候に感謝したい。地熱釜の近くにあるサウナは、コロナの関係で休業しているとのことで入ることができなかった。

そのあと、丸山遊歩道を歩いた。こちらも内輪山(内側にある山)の上を歩くというもので、2重カルデラ(外側に山があってその中にもう一回山がある)をよく体感できるので大変良かった。こちらはあまりチェックしていなかったが、大凸部(おおとんぶ)と丸山遊歩道はセットで楽しむのが良いと思った。
それに、内側の山のさらに内側に森のようになっている箇所があって、上からしか見ることはできないが、ここは本当にジブリの世界のようであった。

内側の山から外側の山を見る

日が暮れて来たので、岡部地区へ戻ってレンタカーを返却。宿へ戻って夕食をとる。美味しかった。
その後、青ヶ島で一件だけ営業している居酒屋「一人(とり)」にいってみた。一人と書いて「とり」と読むそうだ。

青ヶ島は焼酎が有名で、たまたま焼酎をつくるお仕事をされている方が飲みに来ていた。青ヶ島でしか販売されていない「初垂れ(はなたれ)」を注文してみた。
アルコール度数60度ということで、通常は販売してはならないアルコール度数になっており、青ヶ島のみで提供することが許可されているとのことだった。

初垂れはきゅーんとする味がした。良かった。けど倒れてはいけないので、水を沢山入れながら少しずつ飲んだ。他に観光できていた男性の方がいて少し話をした。青ヶ島にあるあらゆる道(通っても良い道)をすべて通ることが目標といった話をされていた。

ビールとお通し
初垂れ
一人(とり)のメニュー
飲んだ

ある程度飲んで、外に出た。
夜。

青ヶ島の静かな夜。散歩大作戦も終盤。
十分に散歩はできたと思う。

宿に戻って翌日の準備をして眠った。

2022年8月20日(4日目)
青ヶ島の民宿にて起床。新館というぐらいで最近できたのか、とてもきれいな部屋で快適だった。準備を整えて出発。ヘリで帰ることにしたのだがヘリは9名しか乗ることができず、いつもは予約でいっぱいとのこと。

朝、ヘリの乗り場で待っているとキャンセルが入ることがあるそうで、キャンセルが入れば乗ることができる。8時少し前ぐらいからヘリの乗り場で待っていた。すると従業員の方がきて今日は空きがあるのでヘリに乗れるということを説明してくれた。よかった。

ヘリが出発する9時55分までに少し時間があるので、牧場を見にいったりお土産を買ったりした。牧場は牛が自由に動き回ったり草を食べたりしており面白かった。お土産は十一屋商店でひんぎゃの塩を買った。

9時55分、ヘリが飛んだ。ヘリは人生で初めて乗ったのだが、あまりにもあっさりと飛ぶので驚いた。そして20分ほどで八丈島に到着した。船だと3時間ほどかかるのに、ヘリだと20分。すごく短く感じた。

お土産
牧場への道
ヘリに乗り込む
青ヶ島から飛び立つ

13時50分発、14時45分着のANAの便に乗って、東京(羽田)に戻った。夕方頃帰宅。風呂に入る。ぼーっとする。コンビニでご飯を買って食べる。

いつもと違う場所を散歩するという散歩大作戦はこれでおしまい。いろんな場所を歩くことができたし、いろんな風景を見ることができてよかった。楽しかった。

またいつかどこかに行ってみたいけど、とりあず当面は練馬区周辺でいいや。

眠り。


こちらは青ヶ島へ行ったことをまとめた動画です。
よかったらこちらもご覧ください。

【観光】青ヶ島を歩く -092-

コメント

タイトルとURLをコピーしました